解体工事を始めようとすると、「解体業登録(解体工事業登録)」と「建設業許可(解体工事業)」という似た言葉が出てきて混乱しがちです。
「登録があるなら許可はいらない?」「許可を取れば登録は不要?」――この判断を間違えると、取引先から指摘を受けたり、無許可状態になってしまうリスクもあります。
この記事では、解体業に関係する2つの制度を“役割”で切り分け、どちらが必要かをケース別に整理します。全体像を先に把握したい方は、こちらもあわせてご覧ください。
(解体業を始めるには何が必要?建設業許可・登録・産廃許可を整理)
結論:登録=「解体工事を行うための登録」、許可=「一定規模以上の工事を請け負うための許可」
まず結論です。
- 解体業登録(解体工事業登録):建設リサイクル法にもとづく「登録制度」。建設業許可(解体工事業など)を持たない人が、解体工事を業として行う場合に必要になりやすい制度です。(引用元:国土交通省|解体工事業に係る登録制度の概要 https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/d03project/d0303/page_03030302law2.htm)(引用元:e-Gov|建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法) ) 国土交通省+1
- 建設業許可(解体工事業):建設業法にもとづく「許可制度」。軽微な工事だけを請け負う場合を除き、建設工事の完成を請け負って営業するには許可が必要で、解体工事でも“1件あたり税込500万円以上”なら許可が必要になります。(引用元:国土交通省|建設業の許可とは )(引用元:e-Gov|建設業法施行令(軽微な工事:500万円未満) ) 国土交通省+1
ポイントは、「どちらか一方で必ずOK」という制度ではなく、工事金額や事業のやり方で必要なものが変わることです。
解体業登録(解体工事業登録)とは
根拠法令と目的
解体業登録は、建設リサイクル法により、解体工事業者の登録制度を実施することが定められている制度です。(引用元:e-Gov|建設リサイクル法 )e-Gov 法令検索
国交省の制度概要でも、建設業法の一定の許可を受けた者を除き、解体工事業を営もうとする者は都道府県知事の登録が必要であること、技術管理者の選任などが要件であることが整理されています。(引用元:国土交通省|解体工事業に係る登録制度の概要 )国土交通省
いつ必要になる?
基本イメージは次のとおりです。
- 建設業許可(解体工事業等)を持っていない
- 解体工事を業として行う
この条件に当てはまると、解体業登録が必要になることが多いです。自治体の案内でも「県内で解体工事を行うには登録が必要」と明示されています。(引用元:埼玉県|解体工事業の登録 )埼玉県公式サイト
更新・管理のポイント
登録は有効期間があり、更新が必要です(自治体によって手続時期の案内が出ています)。(引用元:東京都|建設リサイクル法:解体工事業者登録について )東京都都市整備局
建設業許可(解体工事業)とは
根拠法令と目的
建設業許可は、建設工事の完成を請け負って営業する場合に必要となる許可制度で、公共工事か民間工事かを問いません。(引用元:国土交通省|建設業の許可とは )国土交通省
500万円ルール(軽微な工事の考え方)
解体工事は「建築一式工事以外の建設工事」に該当するのが通常で、工事1件あたりの請負代金が税込500万円未満であれば「軽微な工事」として許可が不要とされています。(引用元:国土交通省|建設業の許可とは )国土交通省
さらに、建設業法施行令でも「軽微な工事」の金額基準(500万円未満)が示されています。(引用元:e-Gov|建設業法施行令 )e-Gov 法令検索
つまり、解体工事で建設業許可が必要かどうかは、原則「1件の請負金額が500万円以上か」が入口になります。
詳しい判断は、次の記事で具体例つきで解説しています。
(解体工事に建設業許可は必要?不要なケースとの違いを解説)
【比較で一発理解】解体業登録と建設業許可の違い
ここが一番モヤモヤしやすいので、役割を整理します。
【違いの早見表(概要)】
- 根拠法令:
解体業登録=建設リサイクル法/建設業許可=建設業法(引用元:e-Gov|建設リサイクル法 )(引用元:国土交通省|建設業の許可とは ) - 目的:
解体業登録=解体工事業者としての登録・適正な解体の確保/建設業許可=一定規模以上の工事を請け負って営業するための許可 - 金額基準:
解体業登録=金額基準で「登録不要」になるわけではない(※許可を持てば登録不要になり得る)/建設業許可=1件税込500万円以上(軽微を超える)で必要(引用元:国土交通省|建設業の許可とは ) - 管轄のイメージ:
解体業登録=解体工事を行う区域を管轄する都道府県知事(引用元:国土交通省|解体工事業に係る登録制度の概要 )/建設業許可=国交省・都道府県(申請区分による)(引用元:国土交通省|建設業の許可とは ) - 対外的な見え方:
解体業登録=「登録」/建設業許可=「許可」(元請・発注者が気にすることが多い)
どちらが必要?ケース別の結論
ケース1:解体工事が500万円未満の案件だけ(当面は小規模)
- 建設業許可:不要になり得る(軽微な工事のみの場合)(引用元:国土交通省|建設業の許可とは )
- 解体業登録:必要になることが多い(許可を受けた者を除く登録義務の整理)(引用元:国土交通省|解体工事業に係る登録制度の概要 )
読者がやりがちな落とし穴:
「500万円未満だから何もいらない」と思い込み、登録をしていないパターンです。まずは“登録の有無”を確認してください。
ケース2:500万円以上の解体工事を請け負う(または請け負う予定)
- 建設業許可:必要(軽微を超える工事)(引用元:国土交通省|建設業の許可とは )
- 解体業登録:許可を受けた場合は登録不要になり得る(許可を受けた者を除く、という制度整理)(引用元:国土交通省|解体工事業に係る登録制度の概要 )
ケース3:今は500万円未満だが、元請化・大きい案件を狙いたい
「いつか大きい案件を…」という段階で多いのが、登録だけで走り続けてしまうケースです。
取引先は“工事規模が上がるほど”許可の有無を厳しく確認する傾向があります。今後の受注計画(単価・件数・元請比率)を見て、許可取得のタイミングを先に決めるのが現実的です。
よくある勘違いと、無許可・未登録リスク
勘違い1:「登録があるから、500万円以上も請け負える」
登録は“許可の代わり”ではありません。500万円以上(軽微を超える)の解体工事を請け負って営業するなら、建設業許可が必要になります。(引用元:国土交通省|建設業の許可とは )
勘違い2:「許可を取れば、やることは全部終わり」
解体業は、許可・登録以外にも、現場の届出や廃棄物処理のルールが絡みます。産廃の運搬を自社で行う場合は、別途「産廃収集運搬許可」が必要になるケースがあります。
(解体業で産業廃棄物収集運搬業許可が必要になるケースとは)
迷ったらこれだけ:判断チェックリスト
次の質問にYESが多いほど、建設業許可(解体工事業)を早めに検討する価値があります。
- 1件500万円以上の解体工事を受ける可能性がある
- 元請として受注したい(下請から脱却したい)
- 不動産会社・工務店から「許可の有無」を確認されることが増えた
- 解体だけでなく周辺工事も含めて受注単価を上げたい
一方で、当面500万円未満の小規模解体が中心なら、まずは解体業登録の適正な取得・更新・表示などの実務を固めるのが優先です。(引用元:国土交通省|解体工事業に係る登録制度の概要 )
まとめ:違いが分かれば、次にやることが決まる
- 解体業登録は、建設リサイクル法にもとづく「登録制度」
- 建設業許可(解体工事業)は、建設業法にもとづく「許可制度」
- 解体工事が1件税込500万円以上なら、原則として建設業許可が必要
- 小規模中心でも、登録が必要になるケースがある(許可保有者は除く)
「自分は登録だけで足りるのか」「許可を取るべきタイミングはいつか」を整理したい方は、制度の全体像をまとめた記事もあわせてご覧ください。
(解体業を始めるには何が必要?建設業許可・登録・産廃許可を整理)
👉 無料相談
「うちの案件は500万円ルールに当たる?」「登録はどの県で必要?」「許可取得の最短ルートは?」など、状況によって判断が分かれることもあります。無許可・未登録のリスクを避けるために、現状(工事金額・契約形態・今後の受注予定)を整理してから一度相談するのがおすすめです。

