「一人親方なら建設業許可はいらない」
このように聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし実務上は、「一人親方だから大丈夫」と思い込んだまま工事を続け、知らないうちに無許可状態になってしまっているケースが非常に多く見られます。一人親方だからといって、全てのケースで建設業許可が不要というわけではありません。
本記事では、一人親方でも建設業許可が
- 必要になるケース
- 不要なケース
- 特に注意すべきポイント
を整理し、判断を誤らないための考え方を分かりやすく解説します。
結論:一人親方でも建設業許可が必要になる場合がある
一人親方かどうかが判断基準”ではない”
建設業許可が必要かどうかは、「一人親方かどうか」では判断されません。
建設業法では、「建設工事の完成を請け負うことを営業とする者」は、原則として建設業許可を受けなければならないとされています(建設業法第3条)。(e-Gov|建設業法)
つまり、
- 法人か個人か
- 一人で仕事をしているか
といった点は関係なく、請負契約で建設工事を受注しているかどうかが判断基準になります。
「一人親方=許可不要」と誤解されやすい理由
一人親方が「許可はいらない」と誤解されやすい理由として、次の点が挙げられます。
- 下請として現場に入ることが多い
- 小規模工事が中心になりやすい
- 元請から「許可はいらない」と言われることがある
しかし、これらはいずれも 建設業許可が不要である根拠にはなりません。許可の要否は、工事内容・請負金額・契約形態によって判断されます。
一人親方でも建設業許可が「必要になる」ケース
ここでは、一人親方でも建設業許可が必要になるケースを見てみましょう。
工事金額が500万円以上になる場合
建築一式工事以外の建設工事については、工事1件あたりの請負金額が税込500万円以上になると、建設業許可が必要になります。(国土交通省「軽微な建設工事」)
これは一人親方であっても同様です。
【例】
- 内装工事を一式で税込520万円で請け負った
- 足場工事を元請として500万円以上で受注した
※500万円ルールの詳しい考え方については、こちらの記事もご確認ください。
関連記事:建設業許可が必要になるケースとは?500万円ルールを具体例で解説
元請として工事を請け負う場合
一人親方であっても、元請として工事を請け負う場合は特に注意が必要です。
- 契約の名義が自分
- 発注者に対して工事全体の責任を負っている
このような場合、実作業を下請に出していたとしても、自ら建設業を営んでいると判断されます(e-Gov|建設業法)。
継続的に工事を請け負っている場合
工事金額が500万円未満であっても、
- 継続的に工事を受注している
- 反復継続して事業として行っている
場合には、実態として「建設業を営んでいる」と判断されやすくなります。
将来的に工事規模が大きくなる見込みがある場合は、早めに許可取得を検討するケースも多いのが実情です。
一人親方でも建設業許可が「不要な」ケース
一方で、以下の場合には建設業許可が不要とされます。
軽微な建設工事のみを行っている場合
次の条件を満たす場合は、建設業許可は不要とされています。
- 建築一式工事以外
- 工事1件あたりの請負金額が税込499万円以下
これは「軽微な建設工事」に該当します。(国土交通省「軽微な建設工事」)。
常に下請で、請負契約ではない場合
元請と直接の請負契約を結ばず、
- 労務提供に近い形
- 元請の指揮命令下で作業している
といった場合は、請負契約ではなく雇用・準委任に近い扱いとなることもあります。
ただし、契約書の内容次第では請負と判断されることもあるため注意が必要です。
一人親方が特に注意すべきポイント
契約を分割すれば500万円未満になるという誤解
同一現場・同一目的の工事については、契約を分割していても、実態として一体の工事と判断されれば合算される可能性があります(e-Gov|建設業法施行令)。
よく許可を受けずに済むよう、契約を分割して500万円未満にするという考えがありますが、この場合金額ではなく、工事の実態で判断されますので注意しましょう。
材料費を別請求すればOKという誤解
発注者が材料を支給している場合、その材料の市場価格等を請負金額に加算して判断するとされています(近畿地方整備局Q&A)。そのため、材料費を別請求にして500万円未満にしたとしても、材料費は請負金額に加算されると考えられるため、許可が不要とはなりませんので注意しましょう。
元請から「許可はいらない」と言われた場合
また元請から「一人親方なら許可はいらない」と言われるケースもありますが、許可の要否は各事業者自身の責任で判断する必要があります。そのため、元請からの言葉を鵜呑みにして無許可で工事をしていて場合、無許可営業で建設業法違反となってしまうので注意しましょう。
後から無許可が発覚しても、「元請に言われたから」という理由は通りません。
一人親方向け|建設業許可が必要か判断するチェックリスト
次の項目に1つでも当てはまる場合は、建設業許可が必要になる可能性があります。
- 元請として工事を請け負っている
- 工事金額が税込500万円以上になる可能性がある
- 材料費・追加工事を含めると500万円を超える
- 契約書上、自分が請負人になっている
- 継続的に工事を受注している
許可が必要か迷ったときの対処法
一人親方の場合、「今は大丈夫だと思っていたが、仕事が増えて基準を超えてしまった」というケースが非常に多くあります。
無許可状態が続くと、
- 行政からの指摘
- 元請・取引先からの信用低下
- 仕事を受けられなくなる
といったリスクがあります。
早めに専門家へ相談し、
- 許可が必要かどうか
- 取得すべき許可の種類
- 今後の事業の進め方
を整理しておくことが重要です。
まとめ
一人親方であっても、建設業許可が不要とは限りません。判断基準は「一人かどうか」ではなく、工事内容・請負金額・契約形態です。
「自分の場合は許可が必要なのか分からない」と感じた場合は、無理に自己判断せず、状況を一度整理することをおすすめします。
関連記事:建設業許可が必要になるケースとは?500万円ルールを具体例で解説
👉 一人親方で建設業許可が必要か迷っている方へ
工事内容によっては、知らないうちに無許可状態になっているケースがあります。あなたの状況で建設業許可が必要かどうか、行政書士が確認します。

