解体業は「登録」「建設業許可」「産廃の許可」など、似た言葉の制度がいくつも出てきます。その結果、悪気はないのに“勘違い”のまま現場を回してしまい、元請や発注者に指摘されたり、行政対応が必要になったりするケースが少なくありません。
この記事では、解体業で特に多い「許可・登録の落とし穴」を5つに絞って、なぜNGになり得るのか/どう回避すればいいのかを、実務目線で整理します。まず全体像を押さえたい方は、こちらもあわせてどうぞ。
(解体業を始めるには何が必要?建設業許可・登録・産廃許可を整理)
先に結論:落とし穴は「制度の取り違え」と「実態判断のズレ」
解体業の許可トラブルは、だいたい次の2つに集約されます。
- 制度の取り違え:登録があるから許可はいらない、など
- 実態判断のズレ:処分しないからOK、元請が言ったからOK、など
特に「許可が必要かどうか」は、書類の名目よりも“何をしているか(実態)”で見られます。では、解体業でよくある勘違いを見ていきましょう。
落とし穴①「解体業登録があるから、建設業許可はいらない」
よくある勘違い
「解体工事業登録を取った=解体工事は全部できる」と思い込み、500万円以上の工事も請け負ってしまうパターンです。
なぜ危ない?
建設業の許可は、公共工事・民間工事を問わず、建設工事の完成を請け負って営業する場合に必要です。国土交通省+1
ただし「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は許可が不要とされ、その基準として「建築一式以外は1件500万円未満(消費税等込み)」が示されています。国土交通省+1
つまり、解体工事(通常は建築一式以外)で1件あたり税込500万円以上を請け負うなら、原則として建設業許可(解体工事業)が必要になります。国土交通省+1
回避策
- 受注前に「1件の請負代金(税込)」で判定する(“合計売上”ではありません)
- 500万円を超えそうな見込みが出たら、早めに許可取得の計画を立てる
制度の違いは、こちらの記事で1本にまとめています。
(内部リンク:解体業登録と建設業許可の違いをわかりやすく解説)
落とし穴②「500万円未満だから“何の手続きも”いらない」
よくある勘違い
「うちは小規模だから、登録も許可も不要」と思い込むパターンです。
なぜ危ない?
建設業許可は“軽微な工事(500万円未満)”なら不要とされますが、それはあくまで建設業法上の許可の話です。国土交通省+1
一方、解体工事業の登録は建設リサイクル法の枠組みで、一定の建設業許可を受けた者を除き、解体工事業を営もうとする者は都道府県知事の登録を受ける必要がある、と整理されています。国土交通省+2国土交通省+2
東京都も「登録の必要な業者とは」として、解体工事業者登録制度を案内しています。東京都都市整備局
つまり「500万円未満=何も不要」ではなく、許可が不要でも登録が必要なケースが普通にあります。
回避策
- 「建設業許可の要否」と「解体業登録の要否」を別々に判断する
- 県外の現場がある場合は、どの区域で登録が必要かも確認する(登録は“行う区域”が軸になりやすい)国土交通省
落とし穴③「産廃は“処分しない”から許可はいらない(運ぶだけならOK)」
よくある勘違い
「処分は業者に任せる。自分は運ぶだけだから大丈夫」と考えてしまうパターンです。
なぜ危ない?
産業廃棄物の収集運搬を業として行う場合は許可が必要、というのが廃棄物処理法の基本です。e-Gov 法令検索+1
解体業で問題になりやすいのは、たとえば次のような実態です。
- 現場から出た廃材を、自社トラックで処分場へ運ぶ
- 元請に頼まれて、他社の廃材も一緒に運ぶ
- ヤードへ持ち帰り→そこから処分場へ運ぶ(積替え・保管の論点が出やすい)
さらに、許可の有無以前に、運搬車両の表示や書面備え付けなど、運搬時のルールもQ&Aや資料で整理されています。環境省+1
回避策
- 「自社の産廃の自己運搬」なのか「他人の産廃の運搬(業)」なのか、まず線引きする
- 自己運搬のつもりでも、表示・書面携帯などの義務が発生し得る点を押さえる環境省+1
具体的な判断軸とケース分けは、こちらの記事にまとめています。
(内部リンク:解体業で産業廃棄物収集運搬業許可が必要になるケースとは)
落とし穴④「元請が許可(登録)を持っているから、下請の自分は不要」
よくある勘違い
「元請がちゃんとしているから、下請の自分は気にしなくていい」という考え方です。
なぜ危ない?
たとえば建設業許可は、元請・下請を問わず「建設工事の完成を請け負って営業する」ことが対象です。国土交通省+1
また解体工事業登録も、解体工事業を営もうとする者に登録が求められる整理で、元請の有無で免れる制度ではありません。国土交通省+2国土交通省+2
産廃も同様で、「誰が収集運搬をするのか(実態)」が問題になります。許可申請の手続案内でも、収集又は運搬を業として行う者が対象であることが示されています。環境省
回避策
- “自社が何をしているか”を、契約・請求・現場運用で棚卸しする
- 元請からの指示があっても、下請側に許可・登録が必要な行為が含まれていないか確認する
落とし穴⑤「今は小規模だから、後で考えればいい(でも現場運用が先に変わる)」
よくある勘違い
「500万円以上の仕事は来てから考える」「産廃は今は少ないから後で」と、制度対応を先送りするパターンです。
なぜ危ない?
事業が伸びると、次のように“現場運用”が先に変わります。
- 受注単価が上がる(500万円に近づく/超える)
- 元請化し、発注者・不動産会社が許可の有無を厳しく確認する
- 現場数が増え、廃材の運搬がルーティン化する(=「業として」の色が濃くなる)
建設業許可の「軽微な工事」基準が明確にある以上、ラインを超えた瞬間に違法状態になり得ます。国土交通省+1
産廃も、許可対象手続の案内にある通り「業として」運搬するかどうかが核心なので、規模拡大で一気にリスクが顕在化しやすい分野です。環境省+1
回避策
- 3か月〜6か月先までの受注予定を見て「いつ許可・登録が必要になるか」を逆算する
- 先に“運用ルール(見積・契約・運搬)”を整えて、ライン超えの事故を防ぐ
なぜ解体業は勘違いが起きやすいのか(原因を一言で)
- 根拠法令が分かれている(建設業法/建設リサイクル法/廃棄物処理法)
- 「登録」「許可」が混在し、言葉が似ている
- 行政判断は“実態”を重視するため、現場運用がズレると一気にアウトになりやすい
勘違いを防ぐチェックリスト(まずはここだけ)
次のうち1つでも「ドキッ」としたら、早めに整理する価値があります。
- 工事1件の請負代金が、税込500万円に近い/超えそう
- 登録はしたが、建設業許可との違いを説明できない
- 自社トラックで廃材を運ぶことがある
- 元請や発注者から「許可ありますか?」と聞かれた
- 県外の現場も増えてきた
まとめ:落とし穴は“知っていれば避けられる”ものがほとんど
解体業の許可・登録は複雑に見えますが、落とし穴の多くは「制度を取り違えない」「実態で判断する」の2点を意識すれば回避できます。
迷ったら、まずは次の2記事で頭を整理してから、あなたの運用(受注金額・契約形態・運搬の有無)に当てはめてみてください。
(解体業登録と建設業許可の違いをわかりやすく解説)
(解体業で産業廃棄物収集運搬業許可が必要になるケースとは)
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「登録と許可、うちはどこまで必要?」「この運搬のやり方は自己運搬で足りる?」など、解体業は“ケース判断”が多い分野です。現状の運用(見積・契約・運搬ルート)を整理したうえで、必要な手続きを最短で決めたい方はご相談ください。

