「建設業許可って、自分で申請できるの?行政書士に頼まないとダメ?」
——実際こう思う方も少なくないのでしょうか?
結論から言うと、建設業許可の申請は、申請者本人(法人なら役員・従業員を含む)が自分で行うことができます。
実際、東京都の案内でも、代理人欄は「行政書士等の代理人による申請・届出の場合に記入」「申請者本人による申請なら記入不要」とされています。
(引用元:東京都都市整備局「建設業許可 手引、申請書類等」東京都土木管理情報システム)
ただ、注意しなければいけないのは、本人が申請することで
・大幅に時間が取られてしまう
・申請自体が受理されない
可能性があるということです。
だからこそ、“自分の状況に合う選択”をすることが大切です。
この記事では、自分で進められるケースと、行政書士に頼んだ方が安全なケースを分かりやすく解説します。
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自分で申請する場合にも必ずかかる費用
自分で申請をしようと検討している方の中には、「費用をできるだけ抑えたい」と考えている方も多いのではないではないでしょうか。
しかし、自分で申請したとしても、行政に納める法定費用(手数料等)は必ずかかります。
東京都知事の場合、
新規、許可換え新規、般・特新規:9万円
業種追加又は更新:5万円
国土交通大臣の場合、
新規、許可換え新規、般・特新規:登録免許税15万円
業種追加又は更新:5万円
は法定費用として必ず支払う必要があります。
またそれに加え、申請のために必要な書類を取得するための手数料がそれぞれ数百円程度必要になります。必要書類としては
・登記事項証明書
・住民票
・身分証明書
・印鑑証明書
・登記されていないことの証明書
・納税証明書
などがあります。それらを全部合わせると数千円程度発生すると見ておくと良いでしょう。
つまり「自分でやればタダ」ではなく、行政に納める法定費用は必ず発生します。自分で申請をすることで抑えられるものはあくまで、専門家に支払う報酬部分です。
そのため、専門家に支払う報酬と自分の時間を使うことのコスト、また不許可や取り下げとなるリスクを考えて選択する必要があります。
※不許可になった場合でも一度支払った申請手数料(上記で解説した9万円、5万円等)は返還されませんので、ご自分で申請をする場合には欠格要件などに該当していないかなど、慎重に準備を進める必要があります。
結論:建設業許可は「自分でできる」が“条件付き”
建設業許可は、手引きに沿って書類を作り、窓口とやり取りして提出できれば、自力取得は可能です。東京都でも本人申請の前提が示されている通り、代理人は必須ではありません。(引用元:東京都都市整備局 前掲東京都土木管理情報システム)
ただし、許可申請は「書類の書き方」だけではなく、許可要件を満たしていることを“証明”する作業です。営業所の実態確認資料、経験の裏付け、社会保険加入の確認資料など、自治体・窓口運用で求められる範囲が広く、準備に時間がかかりやすいということは押さえておく必要があります。
自分で申請しやすい人とケース
要件がシンプルで、証明が分かりやすい
- 経営業務の管理責任者等や営業所技術者等が明確
- 資格証・卒業証明・実務経験証明など、裏付け資料が揃えやすい
- 営業所の実態(賃貸契約書、写真、案内図等)の説明が容易
平日の日中に動ける(窓口・書類収集)
証明書取得、窓口相談、補正対応など、平日稼働が必要な場面が出ます。時間に余裕がある方ほど、自力申請の成功率は上がります。
手引きを読んで“自分で判断”することに抵抗がない
自力で申請する場合、とにかく手引きに沿って必要書類の収集、要件の確認等を行なっていきます。手引きのページ数は120ページ以上あるため、そのような手引きを読み解くことに抵抗がないという方は、自力での申請に向いていると言えます。
自力申請でつまずきやすいポイント
要件判断(経験のカウント)がグレー
資格を持っているか持っていないかなど、要件判断が分かりやすい場合であれば良いのですが、例えば経営経験・実務経験の期間の数え方、役職・雇用形態の扱い、工事内容の該当性などが曖昧な場合、判断が難しく自力での申請に向いていないと言えます。
証明資料の“質と量”が読めない
窓口は「必要十分な裏付け」があるかを見ます。ケースによっては大量の資料提出になることもあり得ます。例えば、経験証明に関して契約書・注文書・請求書等の写しが必要になることもあります。そのような証明資料を準備する段階で、つまずいてしまうケースが多々あります。
自治体・窓口運用の差
国交省の書類一覧でも「詳細は提出窓口に照会」とされ、窓口確認が必要な場面があることが分かります。(引用元:国土交通省「許可申請に必要となる書類の一覧」国土交通省)実際に窓口に出向かなければならないということで、時間が取れずつまずいてしまうケースもあります。
補正対応が地味に重い
場合によっては補正が求められるケースがあります。実際自力で申請する場合、多く場合補正を求められることがあります。また補正は「1回で終わる」とは限りません。事業を回しながら補正をこなすのが難しい場合、結果的に依頼した方が早い、と行政書士に依頼してくるケースも多々あります。
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行政書士に頼んだ方が良いケース(判断基準)
以下の場合には、自力申請は向いておらず、最初から行政書士に依頼した方が良いでしょう。
要件がグレー、または複数パターンで悩む
- 経管の経験が「会社員→個人→法人役員」など複雑
- 実務経験の証明資料が散らばっている/一部欠けている
- 営業所技術者等を誰にするか迷う(複数候補)
更新・業種追加を“同時進行”で行いたい
建設業許可は「更新」と「業種追加」は同時進行で行うことができます。しかし、業種追加や、変更届の未提出などが絡むと難易度が上がるため、行政書士に依頼した方が良いでしょう。
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期限が迫っている/最短で取りたい
「元請から許可を求められている」「入札や経審に間に合わせたい」など、取得時期が重要な場合は、手戻りを潰す意味で行政書士に最初から依頼しておくと良いでしょう。
特定建設業許可の申請
元請業者として大型の建設業工事を請け負うことができる『特定建設業許可』は、要件が通常の許可申請よりも厳しいため、行政書士に依頼して進めると良いでしょう。
行政から指摘を受けた/過去に差戻し経験がある
指摘対応が絡むなら、初動から専門家を入れて、説明筋を整える方が安全です。
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自分でやる vs 行政書士に頼む:費用・時間・リスクの比較
自分でやる場合
- お金:法定費用+証明書取得の実費(例:知事許可の新規申請9万円など)(引用元:愛知県PDF 愛知県公式サイト)
- 時間:手引き読み込み、資料収集、窓口相談、補正対応
- リスク:要件の読み違い、資料不足による補正長期化
行政書士に頼む場合
- お金:上記に加えて報酬が発生
- 時間:資料収集の協力は必要だが、設計・組み立ての負担が減る
- リスク:要件判断・資料の見せ方を設計して手戻りを減らしやすい
(※どこまで代行してくれるか、実績・専門性は事前確認推奨)
【チェックリスト】あなたはどっち向き?(5分診断)
YESが多いほど「自力向き」、NOが多いほど「依頼向き」です。
□ 経管・営業所技術者等が誰か、要件の根拠を自分で説明できる
□ 裏付け資料(契約書、請求書、工事経歴、資格証等)が整理できている
□ 平日日中に窓口対応・証明書取得の時間を確保できる
□ 補正が複数回になっても落ち着いて対応できる
□ 取得時期が多少ずれても致命的ではない
目安
- YES 4〜5:自分で申請しても成功しやすい
- YES 2〜3:要件チェックだけ行政書士に相談、も有効
- YES 0〜1:最初から依頼の方が安全
まとめ:判断基準は「能力」より「状況」。迷うなら“要件確認だけ”でも価値がある
建設業許可は自分で申請できます。東京都の案内でも本人申請が想定されています。(引用元:東京都都市整備局東京都土木管理情報システム)
ただし、難所は「要件の判断」と「証明の組み立て」です。期限がある、要件がグレー、資料が散らばっている
——この条件が揃うほど、行政書士に頼むメリットが大きくなります。
「まず要件だけ確認したい」なら、丸投げではなく “要件確認+不足資料の洗い出し”だけ依頼するのも現実的です。

