建設業を営んでいると、
「建設業許可があれば足りるのでは?」
「産廃の許可って本当に必要?」
と迷う場面が少なくありません。
実際、建設業許可と産業廃棄物収集運搬業(以下、産廃業)許可は、目的も役割も全く異なる別の許可です。
業務内容によっては、どちらか一方では足りず、両方が必要になるケースもあります。
本記事では、産廃業許可の視点を軸に、
- 建設業許可と産廃業許可の違い
- それぞれが必要になる場面
- 両方の許可が必要になる代表的なケース
を、法律の根拠を示しながら分かりやすく整理します。
結論:建設業許可と産廃業許可は「全く別の許可」
目的が違う
まず押さえておきたいのは、2つの許可の目的の違いです。
- 建設業許可
→ 建設工事を「請け負って施工する」ための許可 - 産廃業許可(産業廃棄物収集運搬業許可)
→ 産業廃棄物を「収集・運搬する」ための許可
建設業許可は「工事そのもの」、
産廃業許可は「廃棄物の取り扱い」を対象としています。
片方があっても、もう片方は代替できない
よくある誤解として、
- 建設業許可があれば産廃は大丈夫
- 産廃の許可があれば工事もできる
と考えてしまうケースがありますが、これは誤りです。
どちらの許可も、もう一方の業務をカバーすることはできません。
建設業許可とは何か(簡潔に整理)
建設業許可の役割
建設業許可は、一定規模以上の建設工事を請け負う場合に必要となる許可です。
特に重要なのが、いわゆる 500万円ルール です。
- 建築一式工事以外:
工事1件あたりの請負金額が 税込500万円以上 - 建築一式工事:
1,500万円以上
の場合、建設業許可が必要になります
(引用元:国土交通省「建設業の許可とは」)。
建設業許可があってもできないこと
建設業許可があっても、次の行為はカバーされません。
- 産業廃棄物の収集・運搬
- 産業廃棄物の処分
これらは、廃棄物処理法に基づく別の許可が必要になります。
産廃業許可とは何か(簡潔に整理)
産業廃棄物収集運搬業許可の役割
産廃業許可は、他人の産業廃棄物を収集・運搬する行為を業として行う場合に必要な許可です。
産業廃棄物の適正処理を確保し、
環境保全や公衆衛生を守ることを目的としています。
(引用元:e-Gov|廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条)
産廃業許可があってもできないこと
一方で、産廃業許可があっても、
- 建設工事を請け負う
- 建設工事を施工する
といった行為はできません。
これらは 建設業許可の範囲 です。
建設業許可だけでは足りない典型的なケース
建設現場から出た廃材を自社で運ぶ場合
例えば、
- 解体工事で出たコンクリートがら
- 内装工事で出た廃材
を、自社の車両で処分場まで運ぶ場合、
建設業許可だけでは足りず、産廃業許可が必要になる可能性があります。
元請の指示で廃棄物を運搬する場合
「元請に言われたから」「指示通りやっているだけ」
という理由でも、実際に運搬している事業者自身が許可を持っている必要があります。
両方の許可が必要になるケース【重要】
解体業・リフォーム業
解体業やリフォーム業では、
- 建設工事を請け負う
- 産業廃棄物が大量に発生する
という特徴があります。
このため、
- 工事の請負 → 建設業許可
- 廃棄物の収集・運搬 → 産廃業許可
と、両方の許可が必要になる代表的な業種です。
元請として現場管理を行う場合
元請として現場を管理し、
- 廃棄物の処理方法を決める
- 運搬を自社で行う
といった場合には、
排出事業者責任との関係も含め、産廃業許可が必要になるケースがあります。
事業拡大・公共工事を目指す場合
公共工事や大手企業案件では、
- 許可の有無
- コンプライアンス体制
が厳しくチェックされます。
建設業許可だけでなく、
産廃業許可の取得が 事実上の必須条件 になることもあります。
よくある誤解と注意点
「建設業許可があれば全部OK」
→ 誤りです。
廃棄物の取り扱いは、別の法律・別の許可で規制されています。
「産廃は業者に任せているからOK」
→ 運搬を自社で行っていれば、
無許可運搬に該当する可能性があります。
「今まで問題なかったからOK」
→ 問題になっていないだけで、
違反状態が続いている可能性 もあります。
無許可での処分・運搬のリスクについては、
次の記事で詳しく整理しています。
(内部リンク想定:
「建設業者が産廃許可を取らずに処分するとどうなる?罰則とリスク」)
どちらの許可が必要か迷ったときの判断ポイント
次の視点で整理すると判断しやすくなります。
- 工事を請け負っているか → 建設業許可
- 他人の産業廃棄物を運んでいるか → 産廃業許可
- 工事と廃棄物処理の両方を行っているか → 両方必要な可能性
まとめ
建設業許可と産廃業許可は、
- 目的
- 対象業務
- 根拠法令
が全く異なる別の許可です。
建設業を営む中で、
両方の許可が必要になるケースは決して珍しくありません。
「どちらかあれば足りる」と自己判断せず、
業務内容に応じて整理することが重要です。
👉 自社にはどの許可が必要か迷っている方へ
- 建設業許可だけで足りるのか
- 産廃業許可も必要なのか
- 両方取得すべきケースか
を専門家が確認します。

