結論「失効」した許可は原則“更新で復活”できません
建設業許可は、5年ごとに更新を受けなければ、期間の経過により効力を失う(失効する)仕組みです。(引用元:e-Gov 建設業法)e-Gov 法令検索
いったん失効してしまった場合、原則として「更新で元に戻す(復活)」ことはできず、必要であれば新規取得(取り直し)として再申請を検討することになります。(引用元:e-Gov 建設業法)e-Gov 法令検索
一方で、「期限は過ぎたのに、まだ工事して大丈夫?」のように混乱しやすいケースもあります。ポイントは、失効が確定しているのか、そして失効したとしても契約中の工事にどう対応すべきかを、根拠に沿って切り分けることです。
この記事では、失効の代表パターンと、復活(=更新で継続/新規で取り直し)の判断基準を、チェックリスト形式で整理します。
関連記事:建設業許可の更新を忘れたらどうなる?今からできる対処法
関連記事:建設業許可の新規取得の流れ|申請前に確認すべきポイント
1. そもそも「失効」とは?取消・廃業との違い
失効:期限管理の問題で“自動的に効力がなくなる”
更新を受けないまま有効期間が満了すると、その時点で許可は効力を失います。(引用元:建設業法(更新しないと効力を失う旨)/e-Gov 法令検索)
行政から「取り消し」処分を受けなくても、更新がなければ許可はなくなります。
取消:違反等により行政庁が処分として許可を取り消す
不正行為や要件欠如など一定の場合は、行政庁が許可取消等の監督処分を行う枠組みがあります。(引用元:建設業法(許可の取消し等)/e-Gov 法令検索)
廃業:自らやめた(または会社の解散等)ため、届出により整理される
廃業届は建設業法に基づく手続で、提出されると満了日を待たずに許可行政庁が許可を取り消す旨が自治体ページでも説明されています。(引用元:東京都都市整備局)
「違反による取消」とは性質が違う、という点が大事です。
2. 建設業許可が失効する主なケース一覧
ケース①:更新期限までに更新申請を出していない(最も多い)
建設業許可は更新を受けないと効力を失います。(引用元:建設業法(更新しないと効力を失う旨)/e-Gov 法令検索)
また、更新申請は原則として「有効期間満了日の30日前まで」に提出が必要です。(引用元:建設業法施行規則(更新申請の期限)/e-Gov 法令検索)
ケース②:更新申請は出したが、不許可になった
更新申請の審査の結果、不許可となれば、その時点で従前許可は効力を失います。
ただし、期限内に更新申請を提出している場合、満了日後であっても処分(許可/不許可)があるまで従前許可が有効となる仕組みがあります。(引用元:建設業法(更新申請中の効力の扱い)/e-Gov 法令検索)
ケース③:廃業届を提出した(全部または一部業種)
廃業届は、提出により満了日を待たずに許可が取り消される(=結果として当該許可はなくなる)と説明されています。(引用元:東京都都市整備局)
また、一部業種だけ廃業というケースもあるため、残っている業種がないかは必ず確認しましょう。(引用元:東京都都市整備局)
ケース④:会社の解散・合併等で許可主体が消滅した/個人事業主が死亡した
許可主体が消滅した場合などは、廃業等の届出の対象になります。(引用元:建設業法(廃業等の届出)/e-Gov) e-Gov 法令検索
この場合も、手続の帰結として当該許可を前提に営業することはできなくなります。
3. 【最重要】復活できる?判断基準は「失効が確定しているか」「復活=更新か新規か」
判断①:満了日までに“更新申請が提出済み”か?
- YES(期限前に提出済み):満了日後であっても、更新申請に対する処分(許可/不許可)があるまでは、従前の許可が有効となります。(引用元:建設業法(更新申請中の効力の扱い)/e-Gov 法令検索) → この状態は「失効した」ではなく、“申請中(みなし有効)”として整理できる可能性が高いです。取引先から期限切れを指摘された場合は、受付印のある控え等で「申請中」を説明できる場面があります。
- NO(期限前に出していない):原則、満了日に失効します。(引用元:建設業法(更新しないと効力を失う旨)/e-Gov 法令検索) → 更新での復活は不可。必要なら新規申請です。
判断②:廃業届を出していないか?
- 廃業届を出している:届出により満了日前でも許可が取り消される扱いが説明されています。(引用元:東京都都市整備局)
→ 原則、元の許可に“戻す”という発想ではなく、必要に応じて新規取得(再取得)を検討します。 - 廃業届を出していない:失効原因が更新漏れ等であれば、判断①に戻って整理します。
判断③:失効後でも「契約中の工事」はどうなる?
許可が効力を失った場合でも、失効前に締結した請負契約に係る工事に限り施工できる旨など、対応の枠組みが規定されています。(引用元:建設業法(許可の取消し等の場合における建設工事の措置)/e-Gov 法令検索)
つまり、失効が確定した場合は「今受けている工事」と「これから受ける工事」を切り分け、無許可営業リスクを避ける設計が必要です。
関連記事:建設業許可が必要になるケースとは?500万円ルールを具体例で解説
4. 失効が確定した場合の現実的な対処法(今すぐやる順番)
① 受注中・見積中案件を棚卸し(無許可にならないための止血)
まず「許可が必要な規模の工事」を受けていないかを確認します。軽微な建設工事の範囲など、許可制度の基本は国交省資料でも整理されています。(引用元:国土交通省資料(建設業許可・軽微工事の説明))
許可が必要な工事を新規で受けるのは避け、既契約工事については前述の規定を踏まえて対応します。(引用元:建設業法(建設工事の措置)/e-Gov 法令検索)
② 管轄行政庁で「失効の確定状況」と「再取得のルート」を確認
失効の理由(更新漏れ/不許可/廃業届等)で手続きが変わるため、自己判断で走らず、許可行政庁に確認して最短ルートを作るのが安全です。
③ 新規申請(取り直し)として再取得を進める
失効後の実務は「新規取得」と同じ土俵になりやすいです。必要書類や要件の全体像は、以下の記事で整理できます。
関連記事:建設業許可の新規取得の流れ|申請前に確認すべきポイント
5. 失効を防ぐための管理ポイント
失効トラブルは、突き詰めると「期限管理」と「提出物の積み残し」に収束します。
- 更新期限(満了日・30日前)の管理:更新申請の提出期限は施行規則で定められています。(引用元:建設業法施行規則(更新申請の期限)/e-Gov 法令検索)
- 決算変更届・変更届の未提出をゼロに:未提出があると更新準備が詰みやすくなります。
関連記事:決算変更届を出していないとどうなる?よくあるリスクと対策
関連記事:建設業許可の変更届が必要なケース一覧|出し忘れが多い項目とは
6. 【簡易診断】あなたの許可は“復活”できる?
次の3問で、方向性がほぼ決まります。
1)更新申請を満了日までに提出しましたか?(引用元:建設業法(更新申請中の効力の扱い)/e-Gov 法令検索)
- YES → 申請中(みなし有効)の可能性。受付控えを確認
- NO → 原則失効。新規取得の検討へ
2)廃業届を提出しましたか?(引用元:東京都都市整備局)
- YES → 原則“戻す”ではなく再取得(新規)へ
- NO → 1)へ戻って整理
3)失効前に契約した工事が残っていますか?(引用元:建設業法(建設工事の措置)/e-Gov 法令検索)
- YES → 契約日・工事範囲を確認し、必要な通知等の対応を検討
- NO → 新規受注の制限に注意しつつ再取得へ
まとめ:原因が分かれば、やることはシンプル
- 更新漏れで期限前に申請していない → 失効が原則確定(引用元:建設業法/e-Gov 法令検索)
- 期限前に更新申請を出している → 処分が出るまでは従前許可が有効(引用元:建設業法/e-Gov 法令検索)
- 廃業届を出している → 届出により許可が取り消される扱い(引用元:東京都都市整備局)
- 失効後の工事は「契約済み工事の扱い」を切り分ける(引用元:建設業法/e-Gov 法令検索)
「失効しているかも」と思った時点で、満了日・申請有無・廃業届の有無を確認し、最短で整理するのが結果的に一番コストが低くなります。

