導入:自分で申請は可能。でも「解体業×産廃」は失敗すると損失が大きい
解体工事では、がれき類・木くず・金属くずなどの産業廃棄物が日常的に発生します。「自社で運べればコストが下がる」と考えて、産業廃棄物収集運搬業許可(以下、産廃許可)を“自分で”取ろうとする方は多いです。申請自体は本人(法人なら代表者等)でも可能ですが、産廃許可は自治体運用の幅が大きく、つまずくポイントが分かりにくいのが特徴です。(引用元:環境省「産業廃棄物収集運搬業の許可」)env.go.jp
本記事では、解体業者が自力申請で失敗しやすい典型パターンを「なぜ起きるか/どう回避するか」まで整理します。
(内部リンク:解体業で産業廃棄物収集運搬業許可が必要になるケースとは)
1. 前提:産廃許可は「都道府県ごと」に許可が必要
産廃許可(収集運搬業)は、原則として都道府県知事等の許可を受ける制度です。(引用元:廃棄物の処理及び清掃に関する法律/e-Gov)法令検索
このため、運搬ルートや積替保管の有無によって「どこの許可が必要か」が変わり、ここを誤ると申請のやり直しが発生します。
2. 失敗ケース①:必要な都道府県を勘違いして“許可が足りない”
よくある勘違い
- 「営業所がある都道府県だけ取ればいい」
- 「処分場がある県だけ必要」
- 「元請が手配しているから自社は不要」
実務では、解体現場→(積替場所)→処分場のどこを通るか、誰が運搬主体かで必要許可が変わります。さらに複数県にまたがると、県ごとに様式・添付資料・審査期間が違い、時間も読みにくくなります。(引用元:東京都「産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出等」)東京都環境局(引用元:千葉県「許可の手続(産業廃棄物収集運搬業)」)千葉県公式ウェブサイト
回避策:まず「運搬ルート」を紙に書き、県境をまたぐか/積替保管があるかを確定してから、必要な許可を洗い出します。
3. 失敗ケース②:講習会の受講タイミングを外して、申請が数か月遅れる
収集運搬業の許可申請では、所定の講習会の修了が求められる運用が一般的で、予約が取れないと着手時期そのものが後ろ倒しになります。(引用元:日本産業廃棄物処理振興センター「講習会案内」)公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
「書類を作ってから講習を探す」より、先に受講枠を押さえる方が安全です。
回避策:事業開始希望日から逆算し、講習→書類収集→事前相談→申請→審査の順に、簡単でいいので工程表を作ります。
4. 失敗ケース③:車両・携帯書類の理解不足で“運搬開始後に指摘”を受ける
許可が下りた後も、運搬車両には書類の携帯が求められます。環境省資料では、収集運搬業許可証(写し)や管理票(マニフェスト)などを常時携帯する旨が整理されています。(引用元:環境省PDF「書類の携帯義務について」)env.go.jp
また、電子マニフェスト運用時の携帯・備付けの考え方についてもQ&Aで案内があります。(引用元:JWNET FAQ「書面の携帯義務」)公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
自力申請の失敗は「許可は取れたが、現場運用で違反リスクが残った」パターンです。解体現場は急に動くため、現場責任者がルールを知らないと事故りやすいです。
回避策:許可取得と同時に、①車両に積む書類セット、②現場担当向けチェックリスト、③マニフェスト運用手順を作っておきます。
5. 失敗ケース④:取り扱う廃棄物の種類を誤り、実務と許可内容がズレる
解体でよく出る「がれき類」「木くず」等は産業廃棄物に該当する一方、現場の分別状況や混載の実態で扱いが難しくなります。産廃の定義や区分は法令上の枠組みで定められています。(引用元:廃棄物の処理及び清掃に関する法律/e-Gov)法令検索
自力申請だと「申請品目を広めに取れば安心」と考えがちですが、自治体によっては事業計画・車両・容器との整合を細かく見ます。
回避策:実際に運ぶ可能性のある廃棄物を、現場の写真・過去のマニフェスト等から洗い出し、申請品目と運搬体制(車両・容器)をセットで整えるのがコツです。
6. 失敗ケース⑤:「積替保管あり/なし」を軽く見て、申請ルートが変わる
積替保管を含む申請では、事前相談・事前計画書などが必要になる自治体があります。(引用元:八王子市「許可申請の手続き(事前計画書の注意)」)八王子市
また、積替保管を含む申請は事前問い合わせを求める自治体もあります。(引用元:千葉県「許可の手続(注意事項)」)千葉県公式ウェブサイト
回避策:現場から処分場へ直行できない運用が少しでもあるなら、「積替保管の可能性」を前提に、自治体の手引きで要件と必要書類を確認します。曖昧なまま進めると取り直しになりがちです。
7. 失敗ケース⑥:自治体ごとの“ローカル運用差”を知らず差戻し地獄
産廃許可は、自治体サイトに最新様式や注意事項が掲載され、古い様式だと受け付けない旨が明記されることがあります。(引用元:東京都「産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出等」)東京都環境局
また審査期間の目安(例:概ね60日)を公開している自治体もあり、スケジュール設計に直結します。(引用元:千葉県「審査期間は概ね60日」)千葉県公式ウェブサイト
回避策:ネット記事を起点にするのはOKですが、最終確認は必ず「申請先自治体の手引き・様式」で行います。県が変われば別物と考えるのが安全です。
8. 失敗を防ぐための現実的な判断基準(自分でやる/頼む)
自分でやっても比較的安全なケース
- 申請は1都道府県のみ
- 積替保管なし(直行運搬)
- 車両・容器・役員の欠格事由確認が済んでいる
- 講習会の受講枠を確保済み
最初から専門家に頼んだ方が良いケース(失敗確率が上がる)
- 複数県対応、または今後増える見込み
- 積替保管の可能性がある
- 取り扱い品目が多い/現場が多様で混載リスクがある
- 行政から指摘を受けた、または期限が迫っている
「自分でできるか不安」な場合でも、全部丸投げではなく「必要県の整理」「品目の設計」「チェックリスト作成」だけ相談する形でも、手戻りを減らせます。
まとめ:産廃許可の自力申請は“思い込み”が最大の敵
産廃許可は自分で申請できますが、解体業の場合は現場が動くスピードが速く、許可の取り直しや運搬停止は致命傷になりがちです。特に、①必要県の誤認、②講習の遅れ、③携帯書類・運用ルールの抜け、④品目設計のズレ、⑤積替保管の見落とし、⑥自治体運用差——この6つが失敗の主要因です。(引用元:環境省「産業廃棄物収集運搬業の許可」)env.go.jp
まずは自社の運搬ルートと運用(直行か/積替か)を確定し、自治体の最新手引きで要件を確認するところから始めましょう。
CTA:自分で進める前に、失敗ポイントだけチェックしませんか?
「どの県が必要?」「積替保管に当たる?」「品目はこれで足りる?」など、最初の設計でつまずくと数か月ロスになります。初回相談で、必要許可の整理と不足資料の洗い出しを行います。

