産業廃棄物収集運搬業の許可について、
「1つの県で許可を取れば全国で使える」
と誤解されているケースは非常に多く見られます。
しかし実際には、産廃業許可は都道府県ごとに必要であり、
現場や処分場が複数県にまたがる場合、複数の許可が必要になるケースも少なくありません。
本記事では、
- 産廃業許可が必要となる都道府県の考え方
- 複数県対応が必要になる代表的なケース
- 複数県対応で注意すべき実務上のポイント
を、法令の根拠を確認しながら分かりやすく解説します。
結論:産廃業許可は「運搬に関係する都道府県ごと」に必要
許可は全国共通ではない
まず押さえておくべき重要なポイントは、
産廃業許可は全国共通の許可ではないという点です。
産業廃棄物収集運搬業の許可は、
都道府県知事(または政令市長)が個別に出す許可であり、
1つの都道府県で取得した許可を、他の都道府県で使うことはできません。
(引用元:e-Gov|廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条)
判断のポイントは「どこからどこへ運ぶか」
産廃業許可が必要な都道府県を判断する際の基本は、
- 産業廃棄物を積み込む場所(排出地)
- 産業廃棄物を降ろす場所(処分地・積替え保管場所)
です。
この「運搬の始点と終点」に関係する都道府県で、
それぞれ許可が必要になります。
産廃業許可が必要になる都道府県の基本ルール
原則:排出地と処分地の都道府県で必要
産業廃棄物収集運搬業の許可は、原則として、
- 排出地のある都道府県
- 処分地(または積替え保管地)のある都道府県
の両方で必要になります。
たとえば、
- 東京都の現場で産廃を回収し
- 埼玉県の処分場へ運ぶ
場合は、東京都と埼玉県の両方の許可が必要になるのが原則です。
(引用元:環境省|産業廃棄物処理業許可制度)
政令市が関係する場合の注意点
産業廃棄物の許可では、
政令指定都市が独自に許可権限を持つ場合があります。
例えば、
- 県内の政令市で排出される場合
- 政令市内に処分場・積替え保管施設がある場合
には、
- 都道府県の許可
- 政令市の許可
が別々に必要になるケースもあります。
この点を見落とすと、
「許可を取ったつもりが一部無許可だった」という事態になりやすいため注意が必要です。
複数県の産廃業許可が必要になる代表的なケース
現場(排出地)が複数県にある場合
建設業・解体業・リフォーム業では、
- 東京都の現場
- 神奈川県の現場
- 千葉県の現場
といったように、現場が複数県にまたがるケースが少なくありません。
この場合、それぞれの県で産業廃棄物を収集するため、
各都道府県ごとに許可が必要になります。
産廃業許可が必要かどうかの基本判断については、
次の記事で詳しく解説しています。
(内部リンク:「産業廃棄物収集運搬業の許可が必要なケースとは?業種別に解説」)
処分場が県外にある場合
自社の活動エリアは1県内でも、
- 処分場が隣県にある
- 指定処分場が県外しかない
という理由で、処分地の県の許可が必要になるケースがあります。
「回収は県内だから大丈夫」と考えてしまい、
処分地側の許可を見落とすのは非常に多いミスです。
元請・取引先の都合でエリアが広がる場合
元請企業や取引先の要望により、
- 一時的に別の県の現場を請け負う
- スポット的に県外処分を行う
といったケースでも、無許可で運搬することはできません。
たとえ一度きりであっても、
業として行う以上、許可が必要と判断される可能性があります。
「この場合はどこで必要?」よくある判断パターン
A県で回収し、B県で処分する場合
- A県:収集運搬業許可が必要
- B県:収集運搬業許可が必要
→ 2県分の許可が必要
A県からB県を通過してC県で処分する場合
- 通過するだけのB県:原則不要
- 排出地A県・処分地C県:許可が必要
ただし、積替え・保管を行う場合は別途許可が必要になります。
自社倉庫で積替え保管を行う場合
積替え保管を行う場合は、
- 通常の収集運搬業許可
- 積替え保管を含む許可
が必要となり、要件も厳しくなります。
複数県対応で注意すべきポイント【重要】
申請書類・要件は県ごとに異なる
産廃業許可は、
基本ルールは同じでも、運用や提出書類は自治体ごとに異なるのが実情です。
- 手数料
- 提出方法
- 審査期間
も異なるため、1県分の感覚で進めると混乱しやすくなります。
取得時期をずらすリスク
「まず1県だけ取って、他は後で」という進め方をすると、
- 一部の業務が無許可状態になる
- 取引先から指摘を受ける
といったリスクがあります。
事業エリアが明確な場合は、
最初から複数県同時に取得する方が安全なケースもあります。
更新・管理が煩雑になる
複数県の許可を持つと、
- 更新時期
- 許可番号
- 変更届出
の管理が煩雑になります。
更新忘れによる失効は、
無許可状態と同じ扱いになるため注意が必要です。
複数県の産廃業許可を取るときの考え方
今後の事業展開を見据えて考える
- 今後エリアを広げる予定があるか
- 元請案件が増える可能性があるか
を踏まえて、必要な県を整理することが重要です。
最初にどの県を優先すべきか
一般的には、
- 現在の主な排出地
- 今後の売上比率が高いエリア
から優先的に取得するのが現実的です。
まとめ
産廃業許可は、
- 都道府県ごとに必要
- 複数県対応は珍しくない
- 判断基準は「排出地」と「処分地」
という特徴があります。
仕組みを理解せずに進めると、
知らないうちに無許可運搬になるリスクが高まります。
👉 どの都道府県で許可が必要か迷っている方へ
- 自社の業務ではどの県が必要か
- 複数県対応をどう進めるべきか
- 同時申請と段階取得、どちらが良いか
を整理したい方は、専門家に一度確認することをおすすめします。
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